中国の貨幣史は“形”が特徴的
古代の中国では、日本と同様に貝を賃金の代わりに利用していました。
しかし周の時代に入ると次第に貨幣に青銅を用いるようになり、現代の貨幣制度の基本を築き上げます。
その時代の貨幣を特に“青銅貨幣”と言い、他の時代にはない形が魅力です。
統一前の中国では、各地域でオリジナルの形を催した青銅貨幣が流通していました。
形が特徴的な中国の青銅貨幣
刀銭
引用元:文化遺産オンライン
「刀銭」は、統一前の中国である斉・燕で利用されていた青銅貨幣です。
刀の形をしていることから刀銭という名前が付いた特徴的な貨幣であるものの、日本人にとっては刀と言うより“鉈”や“包丁”と言われた方が馴染みのある形状をしています。
実際に刀銭が流通していた地域では、狩猟や漁猟が盛んでした。
狩りに用いられる道具を模倣して作れられたという可能性が濃厚だという見解があります。
蟻鼻銭
「蟻鼻銭(ギビセン)」は、楚で流通した青銅貨幣です。
その大きさは非常に小さいもので、蟻の頭のような形をしているために“蟻”という漢字を用いて蟻鼻銭と名付けられました。
また、青銅貨幣が流通する以前の“貝”での取引を彷彿とさせる形状でもあるため、“貝銭”と呼ばれることもあります。
貨幣らしく表面には文字らしい刻印がされているのですが、当時の文献が乏しく解読には諸説あるようです。
布銭
引用元:文化遺産オンライン
「布銭」は農具の鋤(スキ)のような形をした青銅貨幣です。
晋・斉・韓・魏あたりの諸国で利用されていました。
“布”という字を用いていることから、始めて聞いた人には布で作られたお金のような印象を与えます。
しかしその実態は、当時用いられた鎛(ハク)という古代農具に由来していると言われており、同音でより簡略的な感じである“布”が用いられるようになったと言われています。
環銭
「環銭」は、秦を中心に普及した青銅貨幣です。
円形に丸(もしくは四角)の穴が空いており、日本で言うと5円玉や50円玉のような形状をしています。
春秋戦国時代に普及した貨幣であり、最終的には秦が中国統一を果たしたため、中国最初の統一通貨である半両銭に形状が継承される結果となりました。
また、円形の見た目をそのまま名称に置き換え“円銭”と呼ばれることもあります。
市場での価値はそれほど高くない
形こそ珍しい青銅貨幣ですが、現在の日本の古銭市場における青銅貨幣に高い価値はありません。
その理由としては原料である青銅の原価が安いことにあります。
売却の相場は1,000円~10,000円程度なため、仮に保有していてもあまり期待せずに買取業者に持ち込むようにしましょう。
歴史的な価値は非常に高いものである
中国貨幣を紐解くと、古代中国では青銅貨幣という特殊な形の貨幣が利用されていました。
売却益は高くないかもしれませんが、歴史的には重要な資料です。
もし自宅に不要な青銅貨幣が見つかったら買取業者に依頼するか、博物館に寄贈するなどの行動が求められるのではないでしょうか。